Chrome の垂直タブを畳みたくなる場面は、だいたい決まっています。ウィンドウの幅が足りなくて、本文が窮屈に見切れているとき。エディタと Chrome を左右に並べたいとき。読むだけの数分のあいだ、左の列がずっと幅を持ち続けているのが惜しくなります。
この列を畳むショートカットキーは、以前に一度探したことがあるのですが、そのときは見つからず、サイドバーの端の小さなボタンを押す運用のままにしていました。
ところが先日、「表示」メニューを開いたらこの行が並んでいました。
垂直タブを閉じる ⇧⌘L

アップデートのどこかで増えたのかと思います。
「閉じる」と書いてありますが、タブは閉じません
最初は押すのをためらいました。開いていたタブが全部消えるのでは、と思ったからです。
押してみると、こうなります。折りたたむ前。

⇧⌘L を押した後。

タブ一覧が消えるのではなく、アイコンだけの細い列に縮みます。開いていたタブはそのまま残っていて、もう一度 ⇧⌘L を押せば元の幅に戻ります。トグルです。
日本語 UI の「閉じる」という言葉が少し強すぎるだけで、Chromium 側の実装を見ると素性がはっきりします。このメニュー項目に割り当てられているコマンドは IDC_TOGGLE_VERTICAL_TABS_COLLAPSE で、キー割り当ての定義はこうなっています(chromium-review 8065785)。
{ui::VKEY_L, ui::EF_SHIFT_DOWN | ui::EF_PLATFORM_ACCELERATOR,
IDC_TOGGLE_VERTICAL_TABS_COLLAPSE},EF_PLATFORM_ACCELERATOR は macOS では Command、Windows と Linux では Ctrl に解決されます。つまり Windows・Linux なら Ctrl+Shift+L です。名前のとおり collapse(折りたたみ)のトグルで、close ではありません。
追加されたのは 7 月、M151 への cherry-pick 経由でした
素性がわかったので、いつ入ったのかも追いかけてみました。
最初の変更は 2026 年 7 月 6 日にマージされた CL 8020434 です。コミットメッセージにはこう書かれています。
「Mac の表示メニューにもショートカットを出す」の部分が、私が見つけたあの行です。
この変更は一度 revert されています。macOS でテストが落ちたためで、accelerators_cocoa.mm にショートカットを登録し直した CL 8065785 が 7 月 8 日に reland されました。そして 7 月 10 日、CL 8075958 として M151 のブランチ refs/branch-heads/7922 に cherry-pick されています。
ここで手が止まりました。私の Chrome のバージョンは 151.0.7922.138。3 つ目の数字が、cherry-pick 先のブランチ番号と同じ 7922 です。バージョン文字列のあの数字がブランチ名だと知識としては知っていましたが、自分が今まさに使っている機能とこうして線がつながったのは初めてでした。
注意点
Google の公式な告知は見つけられませんでした。Chrome ヘルプのキーボード ショートカット一覧にもこの組み合わせは載っていません(2026 年 8 月 16 日時点)。手元の 151.0.7922.138 では表示メニューに出ていますが、全ユーザーに配信されているかどうかは確認できていません。メニューに項目が無ければ、まだ届いていないと考えるのが無難です。
当然ながら、効くのは垂直タブを使っているときだけです。表示メニューの「タブを縦方向に表示」にチェックが入っていない状態では、この行自体が意味を持ちません。
垂直タブを使っているなら、表示メニューを一度開いて ⇧⌘L があるか確かめてみてください。あれば、サイドバーの端を狙ってクリックする数秒はもう不要です。
