Zed エディタ vs VS Code 比較レポート

Published
2026-01-30
Author
ykich
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概要

Zedは、AtomとTree-sitterの開発者によって作られた新しいオープンソースのコードエディタです。2023年にベータ版がリリースされ、2024年にオープンソース化されました。Rustで書かれており、GPU アクセラレーションを活用した高速性が最大の特徴です。

主要な違い

1. パフォーマンス

Zed の強み:

  • Rustで書かれており、独自のGPUIフレームワークを使用
  • GPU全体でUIをレンダリング(ゲームエンジンのような設計)
  • 120 FPSを目標とした高速レンダリング
  • 起動時間が極めて速い(ほぼ瞬時)
  • 大規模プロジェクトでもスムーズに動作
  • メモリ使用量が少ない

VS Code の課題:

  • Electron(Chromium)ベース
  • 多数の拡張機能をインストールすると遅くなる傾向
  • 大規模プロジェクトでは起動が遅い
  • メモリ消費が多い(特に複数の拡張機能使用時)

技術的背景:

  • ZedのGPUIフレームワークは、矩形、影、テキスト、アイコンなどの各UIプリミティブ用にカスタムシェーダーを使用
  • Signed Distance Functions(SDF)を利用した効率的なレンダリング
  • 非同期Rustを活用し、複数コアにタスクを分散
  • メインスレッドを8ms以内に保つことで120 FPSを実現

2. リアルタイムコラボレーション

Zed:

  • コラボレーション機能がネイティブに組み込まれている
  • 共有カーソル、音声/テキストチャット、画面共有が標準装備
  • Slackのようなチャンネル機能
  • セットアップ不要で即座に開始可能
  • リアルタイムでシームレス

VS Code:

  • Live Share拡張機能が必要
  • 拡張機能として後付けされた感がある
  • 時々動作が不安定
  • セットアップがやや煩雑

3. AI統合

Zed:

  • AIアシスタントがネイティブに統合
  • Claude 3.5 Sonnet、OpenAI GPT、Gemini、Ollamaなどに対応
  • LM Studioでローカルモデルも使用可能(プライバシー重視)
  • エージェント編集(Agentic editing)機能
  • コンテキストを理解した支援

VS Code:

  • GitHub Copilotは拡張機能として提供
  • 追加拡張機能のような扱い
  • サブスクリプション費用が必要($20/月)

4. ユーザーインターフェース

Zed:

  • ミニマリストなデザイン
  • サイドバーの常時表示なし(デフォルト)
  • コマンドパレット(Cmd+Shift+P)とファイル検索(Cmd+P)中心
  • 必要な時だけパネルがスライドイン
  • デフォルトでクリーンな見た目

VS Code:

  • 左サイドバーに開いているファイル一覧を表示
  • 多機能で設定項目が豊富
  • カスタマイズ性が高い反面、設定疲れの可能性

5. 拡張機能エコシステム

VS Code:

  • 非常に豊富な拡張機能ライブラリ
  • ほぼすべてのニーズに対応する拡張機能が存在
  • 成熟したエコシステム
  • コミュニティサポートが充実

Zed:

  • 拡張機能は限定的(開発中)
  • WebAssembly(WASI)ベースの拡張機能アーキテクチャ
  • サンドボックス化されたクロスプラットフォーム拡張機能
  • 基本的なツールは組み込み済み(Git、AIなど)
  • 将来的には拡張可能だが現時点では選択肢が少ない

6. 言語サポート

Zed:

  • Language Server Protocol(LSP)に依存
  • Rust、Go、TypeScript、Pythonなどで特に強力
  • Pythonは Basedpyright をデフォルトで使用(Pylance は VS Code 専用)
  • 必要な言語サーバーを自動インストール

VS Code:

  • ほぼすべての言語に対応
  • Microsoft の Pylance(Python用)など独自の言語サーバー
  • 成熟した言語サポート

7. プロジェクト管理

Zed:

  • プロジェクト切り替え機能がネイティブ
  • 複数ウィンドウを開かずにプロジェクト間を移動可能
  • シンプルで直感的

VS Code:

  • プロジェクト切り替えには拡張機能(Project Manager)が必要
  • Workspaces機能はあるが設定が必要
  • 複数ウィンドウを開く必要があることが多い

8. その他の機能

Zed の特徴:

  • Vim モード標準搭載
  • ファイルアウトラインパネル
  • 組み込みREPL
  • キーボード中心の設計
  • VS Code キーバインドのインポート可能

VS Code の特徴:

  • 統合ターミナル(より成熟)
  • デバッガー統合(より豊富)
  • Git マージコンフリクト解決ツール(Zedは現時点で弱い)
  • タスクランナー

プラットフォーム対応

Zed:

  • macOS(最も成熟)
  • Linux(安定版)
  • Windows(ベータ → 2024年10月に正式リリース)

VS Code:

  • すべてのプラットフォームで成熟した対応

パフォーマンスベンチマーク例

複数のユーザーレポートによると:

  • 起動時間: Zed は VS Code の数倍高速
  • メモリ使用量: Zed は VS Code より大幅に少ない
  • 大規模ファイル処理: Zed の方がスムーズ
  • CPUファン回転: Zed では静か、VS Code では頻繁に高速回転

移行の容易性

VS Code から Zed への移行:

  • VS Code の設定を自動インポート可能
  • VS Code キーバインドをそのまま使用可能
  • UI が似ているため学習コストは低い
  • ただし一部の拡張機能が使えない

現在の制限事項

Zed のデメリット:

  • 拡張機能エコシステムが未成熟
  • Git マージコンフリクト処理が弱い(ハイライトさえない)
  • 一部の高度な機能が欠けている
  • コミュニティがまだ小さい
  • Multi-root workspace 未対応

VS Code のデメリット:

  • パフォーマンスの問題(特に多数の拡張機能使用時)
  • メモリ消費が多い
  • AI機能が頻繁に追加され、無効化が面倒
  • 起動時間が長い(大規模プロジェクト時)

適している人

Zed が適している人:

  • パフォーマンスと速度を最優先する人
  • ミニマリストなUIを好む人
  • リアルタイムコラボレーションを頻繁に行う人
  • Rust、Go、TypeScript、Python開発者
  • 設定に時間をかけたくない人
  • 新しいツールを試すのが好きな人

VS Code が適している人:

  • 豊富な拡張機能が必要な人
  • 成熟したエコシステムを重視する人
  • 特定の拡張機能に依存している人
  • 複雑なカスタマイズが必要な人
  • 安定性と信頼性を最優先する人
  • あらゆる言語とフレームワークをサポートする必要がある人

結論

Zed は非常に有望な次世代エディタですが、まだ開発途上です。速度とシンプルさを求めるならZed、豊富な機能と成熟したエコシステムを求めるならVS Codeという選択になります。

多くのユーザーは以下のような使い分けをしています:

  • 日常的なコーディング → Zed(速度重視)
  • 複雑なデバッグやGitマージ → VS Code(機能重視)

Zedの開発は活発で、今後さらに機能が充実していく見込みです。特に拡張機能エコシステムの成長次第では、VS Codeに完全に取って代わる可能性もあります。

技術スタック比較:

参考リンク:

  • Zed公式サイト: https://zed.dev/
  • GPUI技術解説: https://zed.dev/blog/videogame
  • VS Codeからの移行ガイド: https://zed.dev/docs/migrate/vs-code